勤務先に企業型確定拠出年金(企業型DC)がある人は、実は自分でも運用商品を選び、老後資産を育てられる立場にあります。ところが「入っているのは知っているが、初期設定の元本確保型のまま放置している」というケースが少なくありません。この記事では、企業型DCの掛金の仕組み、運用商品の選び方、そして「マッチング拠出」とiDeCo併用のどちらを選ぶべきかという判断基準を、実務目線で整理します。
企業型DCは、掛金が会社負担でありながら運用成果は自分のものになる、非常に有利な制度です。放置は最大の機会損失です。仕組みを理解して、自分に合った活用法を選びましょう。
この記事の内容
企業型DCの基本|掛金と税制メリット
企業型DCは、会社が毎月一定の掛金を拠出し、加入者本人がその資金を投資信託や定期預金などで運用する制度です。運用益は非課税で再投資され、受け取り時には退職所得控除や公的年金等控除といった大きな税制優遇が使えます。
掛金の上限は、他の企業年金制度の有無によって決まります。企業型DCのみの場合は月額55,000円、確定給付企業年金(DB)などを併用している場合は月額27,500円が上限です(2024年12月の改正以降の枠組み)。会社の掛金がこの上限に満たない場合、その差額の範囲で従業員が自分の給与から上乗せできるのが「マッチング拠出」です。
運用商品の選び方|元本確保型のままにしない
企業型DCの落とし穴は、加入時に何も選ばないと「元本確保型(定期預金・保険)」に自動配分されることが多い点です。元本は守られますが、超低金利下ではほとんど増えず、長期の物価上昇に負ける可能性があります。
受け取りが近づいてきたら、徐々に債券や元本確保型の比率を高めて値動きを抑えるのが定石です。この配分の考え方はアセットアロケーション入門が参考になります。
マッチング拠出とiDeCo併用|どちらを選ぶか
2022年10月以降、多くの企業型DC加入者がiDeCoにも同時加入できるようになりました。そこで問題になるのが「会社のマッチング拠出を使うか、iDeCoを併用するか」という選択です。両者は原則どちらか一方しか選べません。
| 比較項目 | マッチング拠出 | iDeCo併用 |
|---|---|---|
| 拠出の上限 | 会社掛金と同額まで(かつ合計が枠内) | 企業型DC等の状況により月額2万円等 |
| 商品ラインナップ | 会社が用意した商品のみ | 金融機関を自分で選べる |
| 口座管理手数料 | 会社負担が多い | 自己負担が発生 |
| 所得控除 | 掛金が全額所得控除 | 掛金が全額所得控除 |
- 会社の掛金が多く、同額まで上乗せできる余地が大きい
- 手数料を自己負担したくない
- 会社の商品ラインナップに満足している
- 会社の掛金が少なく、マッチングの上乗せ枠が小さい
- 低コスト商品を自分で選びたい
- より多くの金額を非課税で積み立てたい
ざっくりした目安として、会社掛金が多くマッチングで十分に上乗せできるならマッチング拠出、会社掛金が少なく上乗せ余地が小さいならiDeCo併用が有利になりやすい、と覚えておくとよいでしょう。iDeCo単体の詳細はiDeCo徹底ガイド、新NISAとの優先順位は新NISAとiDeCoの比較で確認できます。
転職・退職時の手続きを忘れずに
企業型DCの資産は、転職時に転職先の企業型DCへ、または個人型のiDeCoへ移す「移換」手続きが必要です。退職後6か月以内に手続きをしないと、自動的に国民年金基金連合会へ移され、運用されないまま手数料だけが差し引かれる「塩漬け」状態になってしまいます。転職の際は必ず移換を済ませましょう。ほかの投資テーマは投資カテゴリーから探せます。
企業型DCの掛金は自分の給料から引かれますか?
元本確保型のままでも問題ありませんか?
マッチング拠出とiDeCoは両方使えますか?
転職したら企業型DCはどうなりますか?
まとめ
企業型確定拠出年金は、会社掛金で老後資産を運用でき、掛金・運用益・受け取りの各段階で税制優遇を受けられる強力な制度です。元本確保型のまま放置せず、期間に応じた商品配分を選ぶことが第一歩。マッチング拠出とiDeCo併用は会社掛金の大きさで選び、転職時の移換手続きも忘れないようにしましょう。制度を正しく使えば、日々の負担なく老後資産を着実に育てられます。