ドルコスト平均法とは、値動きのある金融商品を「毎月1万円」「毎月3万円」といったように、一定の金額で定期的に買い続ける投資手法です。価格が高いときは少ない口数を、安いときは多くの口数を自動的に買うことになるため、平均購入単価をならす効果があり、いわゆる「高値づかみ」のリスクを抑えられます。2024年に始まった新NISAのつみたて投資枠は、まさにこのドルコスト平均法を前提に設計された制度で、投資初心者が最初に選ぶ方法として定番になっています。

この記事では、ドルコスト平均法の仕組みを具体的な数字で示しながら、一括投資との違い、向いている人・向いていない人、そして新NISAでの実践方法までをやさしく解説します。

この記事の内容

ドルコスト平均法の仕組みを数字で理解する

言葉だけではイメージしにくいので、毎月1万円ずつ、ある投資信託を4か月買い続けたケースで考えてみましょう。基準価額(1万口あたりの価格)が次のように動いたとします。

基準価額 投資額 買えた口数
1か月目 10,000円 10,000円 10,000口
2か月目 8,000円 10,000円 12,500口
3か月目 5,000円 10,000円 20,000口
4か月目 8,000円 10,000円 12,500口

4か月で投じた金額は合計40,000円、買えた口数は合計55,000口です。平均購入単価は「40,000円 ÷ 55,000口 × 10,000」で約7,273円になります。一方、4か月間の基準価額を単純平均すると7,750円です。安いときに多く買えたおかげで、平均単価が単純平均より低く抑えられていることが分かります。これがドルコスト平均法の核心です。

一括投資との違い

まとまった資金を一度に投じる「一括投資」と比べると、それぞれに長所と短所があります。長期的に右肩上がりが期待できる資産では、理論上は早く多くの資金を入れた一括投資のほうがリターンは大きくなりやすいという研究結果もあります。ただし、それは「投資直後に暴落しない」前提での話です。

ドルコスト平均法のメリット
  • 購入タイミングを判断する必要がなく、感情に左右されにくい
  • 下落局面でも「安く買えている」と前向きに続けやすい
  • 毎月の給与から少額で始められ、まとまった資金が不要
デメリット
  • 右肩上がりの相場では一括投資に総リターンで劣ることが多い
  • 投資期間が長くなるほど機会損失が生じやすい
  • 手元資金を寝かせている間の運用効率は下がる

まとまった資金がある人でも、暴落直後の精神的ダメージを避けたい場合は、1年程度に分けて投資する折衷案が現実的です。投資対象そのものの選び方に迷うなら、インデックスファンドとアクティブファンドの違いもあわせて確認しておきましょう。

ドルコスト平均法が効果を発揮しやすい相場

この手法が最も力を発揮するのは、価格が上下に大きく振れながら、最終的に上昇していく相場です。逆に、一本調子で上がり続ける相場では効果は限定的になります。全世界株式や米国株式のインデックスファンドは、短期では大きく変動しつつ長期では成長が期待されるため、ドルコスト平均法と相性が良い代表例です。具体的な商品選びはオルカンとS&P500の比較が参考になります。

注意したいのは「元本割れしない魔法の手法」ではないことです。投資対象が長期的に下落を続ければ、平均単価をならしても損失は避けられません。分散された指数連動型の商品を選ぶことが大前提です。

新NISAでの実践方法

新NISAのつみたて投資枠は年間120万円まで、成長投資枠は年間240万円まで利用できます。つみたて投資枠を使えば、金融庁の基準を満たした低コストなインデックスファンドを毎月自動で買い付けられ、ドルコスト平均法をそのまま実践できます。設定は「毎月いくら」を一度決めるだけで、あとは自動で買付が続きます。

証券会社ではクレジットカードで積立をするとポイントが貯まる仕組みもあり、どこで口座を開くかで還元率が変わります。SBI証券と楽天証券の比較を見て、自分の生活圏に合うほうを選ぶとよいでしょう。制度全体をまだ把握していない場合は、新NISA完全ガイドから先に読むことをおすすめします。

やめてはいけないタイミング

ドルコスト平均法で最も重要なのは「暴落時に買付を止めないこと」です。価格が下がっているときこそ多くの口数を仕込めるチャンスであり、ここで積立を止めると平均単価を下げる効果を自ら手放すことになります。生活費とは別の余裕資金で積立額を設定し、相場に一喜一憂せず淡々と続ける仕組みづくりが成功の鍵です。

ドルコスト平均法は必ず得をするのですか?
いいえ。あくまで平均購入単価をならして高値づかみのリスクを下げる手法であり、元本を保証するものではありません。投資対象が長期的に下落すれば損失は生じます。長期で成長が期待できる分散された商品と組み合わせることが前提です。
毎月いくらから始めればよいですか?
新NISAのつみたて投資枠なら100円や1,000円といった少額からでも始められます。まずは生活に無理のない金額、例えば毎月1万円から始め、慣れてきたら増額するのが現実的です。
一括投資とどちらがよいですか?
長期的な期待リターンでは一括投資が有利になりやすい一方、投資直後の暴落による精神的負担を抑えたいならドルコスト平均法が向きます。まとまった資金があるなら数か月から1年に分けて投資する折衷案も有効です。
ボーナス月だけ増額してもよいですか?
問題ありません。多くの証券会社ではボーナス設定が可能です。ただし増額のタイミングを相場で判断しようとすると本来の利点が薄れるため、あらかじめ決めた金額で機械的に行うのがおすすめです。

まとめ

ドルコスト平均法は、購入タイミングの判断から投資家を解放し、感情に流されず長期投資を続けるための強力な仕組みです。値動きのある相場で平均単価をならし、高値づかみのリスクを抑えられる一方、右肩上がりの相場では一括投資に劣ることもあります。新NISAのつみたて投資枠を使い、余裕資金で淡々と続けることが成果への近道です。次のステップとして、複数資産をどう組み合わせるかを学ぶアセットアロケーション入門にも目を通しておきましょう。

著者について

admin

個人向け金融、クレジットカード、銀行商品を専門とする編集チーム。

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