一家の働き手に万一のことがあったとき、残された家族の生活を支えるのが公的年金の遺族年金です。生命保険の必要保障額を考えるうえで、この遺族年金をいくら受け取れるのかを知ることは欠かせません。公的保障で足りる部分に上乗せで保険をかける必要はないからです。この記事では遺族基礎年金と遺族厚生年金の仕組みを整理し、必要保障額の考え方まで解説します。

多くの家庭では「なんとなく不安だから」と大きめの死亡保険に入りがちです。しかし遺族年金という土台を正しく理解すれば、過不足のない合理的な保障設計ができ、保険料の払い過ぎも防げます。

この記事の内容

遺族年金は2階建て

日本の公的年金は「国民年金(1階)」と「厚生年金(2階)」の2階建てで、遺族年金も同じ構造です。自営業者などは遺族基礎年金のみ、会社員・公務員は遺族基礎年金に遺族厚生年金が上乗せされます。どちらを受け取れるかで、遺された家族の受給額は大きく変わります。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に支給されます。ここでの「子」は18歳到達年度末まで(障害がある場合は20歳未満)を指します。年金額は年間で約81万円(2026年時点の満額)に、子の加算が付きます。子が2人までは1人あたり年約23万円、3人目以降は年約7万円が加算されます。

遺族基礎年金は「子のある家庭」が前提です。子がいない、または子が高校を卒業して要件を外れると支給されません。この点は生命保険で補うべき重要なポイントです。

遺族厚生年金

会社員・公務員が亡くなった場合、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が支給されます。金額は亡くなった人の厚生年金加入期間や報酬に基づく報酬比例部分のおよそ4分の3です。子のない妻や、子が独立した後の妻も一定の条件で受け取れるため、自営業世帯より手厚くなります。40歳以上65歳未満の子のない妻などには「中高齢寡婦加算」が上乗せされる仕組みもあります。

働き方 遺族基礎年金 遺族厚生年金
自営業(国民年金) 子がいれば受給 なし
会社員・公務員(厚生年金) 子がいれば受給 受給(報酬比例の約3/4)
子がいない配偶者 原則なし 会社員なら受給の可能性

必要保障額の考え方

生命保険の必要保障額は、大まかに次の式で求められます。

  • 必要保障額=遺族の支出総額 −(遺族年金+配偶者の収入+貯蓄)

遺族の支出には、日々の生活費、住宅費、子どもの教育費などが含まれます。ここから遺族年金や配偶者の見込み収入、現在の貯蓄を差し引いた「不足額」こそ、生命保険で備えるべき金額です。子の成長とともに必要額は減っていくため、時間の経過に合わせて保障が逓減する保険が合理的です。

必要額を正しく計算する利点
  • 過剰な保険料の払い過ぎを防げる
  • ライフステージに合わせて見直せる
  • 公的保障の薄い自営業世帯のリスクに気づける
見落としやすい点
  • 住宅ローンの団信で住居費が消える場合の考慮漏れ
  • 子が独立した後は遺族基礎年金が止まる
  • 物価上昇による生活費の増加

保険での備え方

遺族年金という土台を踏まえ、不足分を効率よく埋めるには、時間とともに保障額が減っていく収入保障保険が適しています。毎月の給付として遺族の生活費を支える形なので、遺族年金と合わせて家計を安定させやすいのが特長です。掛け捨てで割安な定期保険と終身保険の違いも理解しておくと、目的に応じた選び方ができます。

住宅ローンがある場合は団体信用生命保険で残債が完済されるため、その分だけ必要保障額を減らせます。教育資金の準備は学資保険とつみたてNISAもあわせて検討しましょう。加入した保険は生命保険料控除で節税でき、他の備えは保険のカテゴリーから確認できます。

自営業でも遺族年金はもらえますか?
国民年金からの遺族基礎年金は、18歳到達年度末までの子がいれば受け取れます。ただし遺族厚生年金はないため、会社員世帯より保障が薄く、生命保険で補う必要性が高くなります。
子どもがいない妻は遺族年金を受け取れますか?
遺族基礎年金は原則受け取れませんが、夫が会社員だった場合は遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。中高齢寡婦加算が付くケースもあります。
必要保障額はどのくらいが目安ですか?
家庭ごとに大きく異なります。遺族の生活費・住居費・教育費の総額から、遺族年金・配偶者の収入・貯蓄を差し引いた不足額が目安で、子が小さいほど大きくなります。
住宅ローンがあると保障額は変わりますか?
団体信用生命保険に加入していれば、契約者が亡くなるとローン残高が完済されます。その分の住居費が不要になるため、必要保障額を減らして考えられます。

まとめ

遺族年金は、自営業なら遺族基礎年金、会社員なら遺族厚生年金も加わる2階建ての公的保障です。まずは自分の世帯がいくら受け取れるかを把握し、遺族の支出から公的保障・配偶者の収入・貯蓄を引いた不足額だけを生命保険で備えるのが合理的です。過不足のない保障設計で、家族の安心と家計のバランスを両立させましょう。

著者について

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個人向け金融、クレジットカード、銀行商品を専門とする編集チーム。

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